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中華。

実家に暮らして間も無く一年になろうとしている。

平日の夕飯は私が作るルーティンになりつつある。
料理はもともと好きなので、やり始めると、楽しい。

実家とはいえ他者の台所。
器具の位置から、調味料や、常備されている食材も違う。このテリトリーに入るのに、初めは戸惑った。

幸い、実母があっけらかんとした人で、
なんでも使って!と言ってくれたので好きにやらせてもらっている。

一人暮らしだと、おかずもごはんもワンプレートに盛り付けて、満ち足りない部分はお酒で済ませてしまっていたので、実家の夕食は、いつ見ても豪華だと思う。
食材自体はありふれた、とりわけ豪華なものでなくても、主菜、副菜、小鉢がいくつも並ぶ食卓の姿は、いつ見ても心が満たされる。


今日の夕飯は、
青椒肉絲、麻婆茄子。
ごはん、味噌汁、かぼちゃの煮付け。
母が作り置いてくれた常備菜の
昆布の煮物と、菊のおひたしもある。

中華料理を見るといつも思い出す友人がいる。
その友人は「世界が終わる最後の日の晩餐は、絶対中華と決めている。」と言っていた。
理由は、
「みんなでワイワイ食べられるから!」

なるほど。
たしかに。

大皿に盛られて、円卓に載せられて
みんなでシェアしていく、
スパイスの効いた料理たちを囲む食事は
パワーに満ちていて、明日世界が終わるなんて、うっかり忘れてしまいそうになるだろう。

中華料理は作るのも食べるのも好きだ。